東京都で生じる不用品の量は?
日々の生活の中で生じるゴミには、大きく分けて2種類のゴミが存在しています。日常生活から出る生活ゴミと家庭の中で眠っている不用品がそれらに該当するでしょう。
もう必要がなくなった物の多くが『不用品』と呼ばれる物であり、そのほとんどは粗大ゴミのような簡単には処分のできない物となっています。
そんな粗大ゴミや不用品ゴミは世の中にどのくらい存在しているかをまとめてみたいと思います。
日本の年間のゴミ発生量
環境省の情報によると、2021年度の日本で出たゴミの総排出量は約4,095万トンとなっています。これは、東京ドーム(124万トン≒124万㎥)で換算すると約33杯分に当たる量となります。
年間の1人当たりの1日のゴミ排出量で考えた場合には約0.326kgとなります。1ヶ月当たりでは約30gとなってきます。※2021年時点の全国人口1億2550万人で計算した場合。
また、年間の生活ゴミの量については約3,002万トンとなり、全体のゴミの量の73.3%となっています。
都道府県別のゴミ量について
まず、最も人口の多い首都圏エリア(1都3県)の合計人口数は約3691万人となります。人口比でいうと全国の約29.4%となります。こちらの割合を総ゴミ排出量で算出すると、約1203万トンとなります。
地域 | 人口 | 割合 | ゴミ総量 |
東京都 | 1399,8001 | 11.10% | 454万トン |
神奈川県 | 923,6000 | 7.30% | 298万トン |
埼玉県 | 739,3849 | 5.80% | 237万トン |
千葉県 | 628,4955 | 5.00% | 204万トン |
合計 | 3691,2805 | 29.40% | 1203万トン |
これらの情報から、首都圏エリアは全国的に見ても非常に多くのゴミが生じている状況であることが分かるでしょう。
各地域ごとのゴミ量の詳細
次に、生活ゴミとそれ以外のゴミについて詳細を確認してみると以下のような結果となっています。
地域 | ゴミ総量 | 生活ゴミ | それ以外のゴミ |
東京都 | 454万トン | 333万トン | 121万トン |
神奈川県 | 298万トン | 219万トン | 79万トン |
埼玉県 | 237万トン | 174万トン | 63万トン |
千葉県 | 204万トン | 150万トン | 54万トン |
合計 | 1203万トン | 882万トン | 321万トン |
こちらをみると分かりますが、生活ゴミ以外に該当するものが、『粗大ゴミ』や『不用品』といった類のゴミになって来ると考えられます。総量としては1都3県で約321万トンとなっています。こちらは東京ドーム約2.6杯分となります。
東京都に関しては、121万トンとなることから毎年東京ドーム1杯分の粗大ゴミ・不用品が生じていることになります。数字だけを見ると規模が小さく見えてしまいがちですが、毎年の量と考えるとかなり多いことが分かるでしょう。
東京都で生じる粗大ゴミ・不用品の量
では、東京都で生じるゴミ量につても詳しく見て行きましょう。
地域 | それ以外のゴミ | 1日あたり | 1ヶ月あたり |
東京都 | 121万トン | 3300トン | 9.9万トン |
上記を見ると1日当たりの粗大ゴミ・不用品の量は3300トンとなりますが、これは1時間当たりで計算をすると約138トンということになります。
つまり、1時間当たり2トントラック70台分、10分当たりトントラック11台分の粗大ゴミ・不用品が生じていることになるのです。実際のところは日中の時間帯などの生活時間帯が限られるため、ピーク時には上記の2倍の量になりそうです。
東京都には62の自治体(23区、26都市、5町、8村)が存在していますので、平均して考えると各自治体に1日ごとに2トントラック25台分のゴミが溜まっていくと考えると、さすがにゴミの量や規模の大きさが理解できるでしょう。
このように生じてくるゴミについては全てのものが『不用品』であると考えることができます。
実際の不用品の量はどのくらい?
まず、東京都の中心エリアに焦点をおいて考えてみます。東京都内の23区の人口の割合は全体の69%であるため、先述の121万トン(粗大ゴミ・不用品)の内の約84万トンは23区内から生じるゴミと考えられます。
そして区の平均としては、1区当たり年間3.6万トンとなります。1日当たりで計算をすると2トントラック50台分となるでしょう。人口の少ない市町村を除いてしまえば、実に多い割合となって来ることが理解できるかと思います。
不用品回収業者の利用割合は?
日本全国で不用品回収業者を利用している消費者の割合は8~10%と言われており、実に10人に1人の割合となります。つまり、先述にある1区当たり年間3.6万トン生じる不用品ゴミ等の内のおおよそ3600トン分のゴミは不用品回収業者に処分の依頼があるものとなるでしょう。
都下エリア(人口割合30%)と合わせると、全体で年間約12万トン分のゴミが不用品回収業者が対応する量ということが分かります。
東京都地域 | それ以外のゴミ | 不用品(業者依頼) | 1時間あたり | 1日あたり | 1ヶ月あたり |
23区 | 84万トン | 8.4万トン | 77.7トン | 2333トン | 7万トン |
※1区あたり | 3.6万トン | 3600トン | 4.2トン | 100トン | 0.3万トン |
都下 | 36万トン | 3.6万トン | 42トン | 1008トン | 3万トン |
(合計) | 120万トン | 12万トン | 139トン | 3333トン | 10万トン |
1区当たりでも1日当たり10トン分の不用品回収依頼があると考えると、23区全域でも1日当たり約230トン分の依頼があることになります。
不用品回収業者の1日の対応量は?
1都3県エリアで運営されている不用品回収業者は約30~40社ほど存在していると考えられます。これらの業者の多くは同じエリアを対象に活動している状況ですが、それでも依頼数は多く比較的忙しい状況が考えられます。
都内全域を対象とすれば、1日当たり340トン分ほどの不用品回収依頼があってもおかしくない計算となるでしょう。
各社それぞれで稼働量は異なると考えられますが、平均しておおむねトラック2台分を8時間ほどフルに稼働させているものと考えられます。つまり、1日15件分ほどの依頼をこなし1社あたり最低5トン分程度の不用品を回収しているものとみられます。
日によっても不用品の回収依頼数は異なるものと考えられますが、それでも多くの依頼がある状況です。
粗大ゴミ・不用品1点あたりの処分費用は?
自治体で粗大ゴミを処分する場合には1点ごとに処理手数料が掛かります。当然ながら処分したい物によって料金も異なってきます。
主に戸別収集と直接搬入の2種3パターンの処分手数料が存在しています。
戸別収集での処分費用の場合は?
東京都世田谷区を例に挙げると、処理手数料(戸別収集)は400~3,200円の5つの料金があり、粗大ゴミとして設けられている品目の総数は378点となっています。処分品1点あたりの平均費用は約826円となっています。
もちろん、自治体ごとに料金設定も異なりますが、どちらの自治体であっても1点あたり平均600円以上になると考えられます。しかし、1点あたり600~800円と考えてしまうと決して安いものではありません。
清掃施設への直接搬入(持ち込み)での処分の場合は?
粗大ゴミの直接搬入・持ち込みでの処分の場合は、戸別収集時の一律半額となっている自治体が多いです。または、10kgあたり50~150円程度で設定されている場合が多いでしょう。
つまり、持ち込みの場合には1点あたりの費用が平均300~400円程度となり、重量換算の場合には戸別収集時の費用の1/10程度となることが分かります。
設定料金から分かる事情
多くの場合、小物の粗大ゴミを捨てる際の最低料金を知りたくなるものであり、出来るだけ安い値段であって欲しいと考える物でしょう。
自治体によっては品目ごとに費用が異なるのではなく1点あたり共通の費用が設定されている場合があります。1点500円、600円と設定されている場合には、高いと感じてしまうのではないでしょうか。
しかし、先述の通り実際の平均値を考えて行くと、戸別収集1点あたりで600~800円程度となることから、決して世間一般的な相場感からは離れておらず、むしろ良心的な費用設定に感じられるでしょう。
粗大ゴミ・不用品の処理費用の業界規模は?
先述の通り、粗大ゴミの処分費用に関しての相場感については理解ができたかと思います。そうなると、実際に処分に際して、どのくらいの規模や費用が掛ってくるものとなるかを考えてみましょう。
ここでは東京都をベースに最も安価な費用で済む清掃施設への持ち込み処分を例に考えて行ければと思います。
重量 | 費用 |
10kg | 50円 |
1t | 5000円 |
100t | 50万円 |
1万t | 5000万円 |
100万t | 50億円 |
121万t | 60.5億円 |
上記は東京都の1年間の粗大ゴミ・不用品等の排出量を121万トンとして、処分費用(手数料)を算出しています。直接搬入・持ち込み処分を利用したものとして、重要換算10kgあたり50円として計算しています。
「10kgあたり50円は安い」という印象を抱きがちですが、実際に121万トン分の費用を計算すると驚くことに60億円という規模となることが分かります。戸別収集の場合は10倍の費用が掛るとすると、実に600億円規模ということになるでしょう。
不用品回収業者への依頼の場合は?
先述の通り、東京都を対象に不用品回収業者1社が1日に回収する不用品(粗大ゴミ)が8トン分程度となるものとして考えた場合、掛かってくる処分費用は4万円です。
しかし、企業が持ち込むゴミについては事業ゴミとなることから、実際には2~3倍程度の費用が掛ってくると考えられます。その為、処分を行うだけでも最低8万円程度は掛かってきてしまうでしょう。
すると、当然ながらその分の費用を見越した金額を提供サービスプランに組み込む必要がありますが、1件あたりの回収依頼の最低価格相場が5000円となるため、1日に20件の依頼があれば売り上げ額は20~30万円程度見込めます。
実際の回収品の数に比例して処分費用も掛かることになりますが、売り上げの3~4割程度分は処分費用となりそうです。そう考えてしまうと、不用品回収業者の提供するサービスプランの費用は高すぎるわではなさそうです。
不用品回収業者の業界の売り上げは?
ここまで説明した内容を踏まえると、不用品回収業者が行う処分については費用だけで年間120億円程度、業界の売り上げ規模は300億円となることが分かります。
依頼から回収までの一連の対応に掛かる時間を1件あたり40分~1時間とすると、提供サービスプランの最低額も5,000円くらいになることは妥当です。
不用品回収業者については処分を行うだけではなく、不用品を買い取って売却したり、リユースを目的に海外に輸出したりと様々な対応を合わせて行っているため、実際にはもう少し多くなってくるものと考えられます。
まとめ
今回は東京都で生じるゴミの量について解説を致しましたが、いかがでしたでしょうか?
過去に公開されている情報を元にザックリとした計算をしているものとなりますが、粗大ゴミや不用品といった一般ゴミ以外の物が以外にも多く排出されている状況が理解できたでしょう。
基本的に自治体の粗大ゴミの戸別収集を利用することができれば不用品回収業者を利用する必要はありませんが、自力で解体や排出ができないなどの問題も地味にあるため、実際問題として不用品回収業者等の需要も高いものがありそうです。
また、排出されるゴミの量を考慮すると意外にも不用品回収業者の需要は高く、多くのゴミ処分の一端を担っていることも分かるでしょう。人口が多くなるにつれて排出されるゴミは多くなることも考えられるため、まだまだゴミ処分の需要は高くなっていくことが考えられます。
様々な情報を紐解いていくと分かりますが、どのような処分方法を選択したとしてもそれに見合った費用が掛ってきてしまうことは理解ができたでしょう。