
リチウムイオン電池が使用されている製品の処分を解説!
昨今、モバイルバッテリー製品を筆頭にリチウムイオン電池が使用されている様々な製品の扱いが問題視されています。特に、購入から時間が経過している古い製品については慎重に取り扱う必要があり、危険性もあります。
リチウムイオン電池が使用されているからといって全ての製品が同じようにバッテリーを取り外して処分を進めることができる訳ではないため、処分方法は製品によっても異なるでしょう。
また、保管方法についても季節に応じて慎重に管理する必要が出てきているなど、気に掛けなければならない部分も出てきています。
そこで今回は、リチウムイオン電池の捨て方・処分方法について、簡単に解説をしていければと思います。
リチウムイオン電池ってどんな物?
昨今ではリチウムイオン電池は、様々な製品に用いられている大容量の電力を蓄えることができる電池です。
一昔前までは、主にノートパソコンや携帯電話・スマートフォンなどの家電製品を中心に使用されていましたが、現在ではバッテリーを用いる製品の多くがこのリチウムイオン電池となってきています。
① 根本的に危険性が高い
様々な製品を新たに購入した時点では特に危険性は伴いませんが、管理の仕方・扱い方には注意が伴います。また、リチウムイオンバッテリー自体の寿命はあまり長くないため、時間の経過とともにやや扱いに困るものとなってきます。
特に顕著な変化としては、バッテリー部分の膨張です。これはバッテリーの劣化を示すものであり非常に危険です。これらは、膨張したバッテリーの内部で水素等(※発生する気体の70%)が発生してしまうためです。
しかし、内部に気体が溢れバッテリーの膨張が起きたり、劣化や亀裂によって気体が漏れ出るだけではそこまでの危険はないと言われています。問題となる点は、電力が残っている状態から気体が漏れ出るような状況です。つまり、火が生じるような条件が同居してしまうと発火や爆発などの大事故に繋がってしまいます。
② 比較的寿命は短い
リチウムイオン電池は繰り返し充電を行い使用していくものです。製品によってもバッテリーの性能は異なりますが、大小様々な製品であっても使用頻度が多いものであれば2年程度で性能の変化を感じやすいものとなってきます。
そのため、3年程度使用し続けると「バッテリーの減りが早いな」「満足に充電できないな」という状況となり、概ね寿命を迎えることになるでしょう。
また、使用していない期間が長い場合でも注意が必要となってきます。電力が含まれていない状態でも自然放電がされています。するといつの間にか過放電の状態となり、劣化が進み充電ができない状態となってきます。さらに、電池内部の化学反応も進むため、バッテリー内部に気体が発生して膨張等に繋がってしまいます。
満足に使用できない状態のバッテリーを充電することは非常に危険なため注意しましょう。
※適度に使用を続けている状況の方が安全な状態を保つことに繋がります。。
③ 使用・保管状況に注意
昨今、注意が必要なこととして「使用・保管状況に注意する」ことが重要となってきています。
まず、使用することがない製品・機器については、長期間の保管は絶対に避けましょう。使用することなく保管をし続けた製品の多くは5年以上が経過した時点でバッテリー部分が膨張している場合が多いです。もちろん、この状態であれば直ぐに処分を検討した方が良いですし、無理に持ち上げたり移動させない方が良いです。
また、特に注意が必要となる状況が「夏場の暑くなる環境」です。これは、使用中・保管中の製品・機器に関わらず非常に注意が必要となってきます。基本的に、人が触れて熱い・暖かいと感じられる状態は避けなければなりません。特に発火や爆発が起きやすい条件にもなってきます。
この理由は、冬場にバッテリー製品の性能が落ちてしまうこととは真逆で、暑い・暖かい環境ではリチウムイオン電子が活発になり過ぎてしまうことにより、内部で異常な化学反応が促進されてしまうからと考えられます。
そのため、問題なく使用可能なバッテリー製品であっても炎天下で使用し続けて熱を持ってしまうと危ないですし、使用済みの製品・機器を室内で安全に保管していても夏場の暑い環境であればこちらも危険です。
安全に使用・保管をするためには、暑い時期でも20~30℃程度の環境であることが望ましいでしょう。
製品・機器ごとの取り扱いの違い
リチウムイオン電池が使用されているとしても、製品によっては処分に際しての扱い方は異なります。概ね取り外すようなことはできない場合がほとんどとなっていますが、微妙に対応方法が異なるっため注意しましょう。
大容量の製品・機器の場合
充電容量が大きな製品の場合、基本的に取り外すようなことができない場合が多いです。普通に考えても分かる通り、仮に取り外しができたとしても危険性が高くなってくるものとなるため、厳重に製品内部に納められている場合がほとんどです。
そのため、バッテリー状態の変化に気づきにくい場合も多く外見からでは異常を見分けることが困難な状況が多いです。このような事情から、バッテリーが満足にできない等の状況を踏まえて製品の状態を判断するしかないかもしれません。
処分の際は、基本的にメーカーや販売店に問い合わせて回収をしてもらうようなものが多いでしょう。
小中容量の製品・機器の場合
比較的小型の日用品等の製品の場合、物によっては分解をしてバッテリー部分のみを処分・回収に出す必要がある場合もあります。特に小さく安価な製品の場合には、細かく分解をして分別処分が可能な物が多いため、一般ゴミと同様に処分を進められるものも多いです。
これらの小型製品の場合、バッテリーの膨張により製品が変形したりする変化を感じやすい面があるため、外見からでも異常を感じやすいでしょう。バッテリー自体の容量も少ないため、変化も出やすい傾向があるかもしれません。
バッテリーを取り外して個別に回収してもらうような処分方法が可能となる場合もあるため、基本的に販売店等では積極的に回収を行っていいない場合が多いもしれません。
製品ごとの処分方法・捨て方
それでは、様々な製品ごとの処分方法について簡単に振り返っていきましょう。それぞれの製品ごとの特長なども踏まえて詳しく解説していきます。
※処分に際して各製品・機器に保存される個人情報等の問題については言及は避けてご案内します。
ノートパソコン
昔からリチウムイオン電池が使用されている製品として有名なノートパソコンは、概ね2000年前後の時期から現代で使われている仕様のリチウムイオン電池が利用されてきています。
ノートパソコン自体は、性能面の問題から5~6年程度で買い替えが必要になってくる場合が多いため、ご家庭で眠り続けている製品は少ない場合が多いかもしれません。また、過去製品の多くはバッテリーの取り外しが容易に可能な物も多く、バッテリーだけを処分してしまえば良い場合も多かったかもしれません。
処分をする場合には、パソコンメーカーもしくはリサイクル回収の専門業者に依頼をして処分をすることがかぬとなっています。概ねPC1台当たり5000円前後の費用が掛かります。現代ではバッテリーが完全に内蔵されている製品ばかりとなっているため、パソコン本体を処分する必要があるでしょう。
スマートフォン・タブレット
今や生活に欠かせないアイテムとなっているスマホ(タブレット)については、パソコン製品と大きな違いは無いものとなってきています。しかし、使用頻度が非常に高く持ち運び携帯する機会が多いなどの特徴もあります。
性能面・バッテリー面の問題から3~4年程度が寿命と考えられますが、下取り買い替えなどが積極的に行われているものでもあるため処分機会も充実していますが、そこまで大きなものでも無いため保管され続けてしまう場合も非常に多いでしょう。
処分をする場合には、各自治体で小型家電製品という扱いを受けるものとなってくるため、バッテリーを含んだままリサイクル回収にて捨てることができる場合が多いです。希少金属等を含む場合も多いため、積極的にリサイクルが行われる傾向が強いでしょう。
電動アシスト自転車
電動自転車はバッテリーがなければ無ければ駆動ができなものとなっています。基本的にバッテリーを取り外して充電を行うものとなるため、バッテリーの処分問題についてのハードルは低くなっています。長ければ10年程度使用し続けることができるでしょう。
様々な製品が販売されてバッテリーにも種類があり、リチウムイオン・ニッケル水素など電池にも種類がありますが、全ての製品でリチウムイオン電池用いられているものでも無いため、製品によっては危険性も低い場合が多いでしょう。
処分の際にはJBRC加盟店に持ち寄ることができれば無料で回収を行ってもらうことが可能です。基本的に自転車販売店が該当するものとなりますが、自転車の販売を行う全てのお店が該当するわけではありません。しかし、どちらの地域であっても身近に回収店舗が存在しているため、処分も容易であると言えます。
デジカメ・ワイヤレスイヤホン
比較的小型の家電製品となるデジカメやワイヤレスイヤホンについては、そこまで処分に困るものではないと考えられます。こちらもスマホ同様に、使用頻度が非常に高く持ち運び携帯する機会が多いなどの特徴があるでしょう。
ワイヤレスイヤホンについては、イヤホン本体・ケースに内蔵されているバッテリーよう量も少ないため、危険性も低いものでしょう。逆にデジカメについては、長時間の録画を行うような使い方も可能であるため、バッテリー容量も多いものと考えられます。
しかし、これらはスマホ同様に各自治体で小型家電製品という扱いを受けるものとなってくるため、バッテリーを含んだままリサイクル回収にて捨てることができる場合が多いです。デジカメについては、どちらの自治体でも小型家電ゴミの対象品目となっているため、容易に処分が可能となっています。
ビデオカメラ類の製品もこちらと同じように考えることができるでしょう。
携帯扇風機(ハンディファン)
昨今広く流通しているハンディファンについては、多くの製品にリチウムイオン電池が用いられています。ある程度、長時間の連続駆動が必要となる製品でもあるため、それなりのバッテリー容量が搭載されているでしょう。
他の電化製品を充電するためのモバイルバッテリー製品としても使用できる機能があるなど、大小様々なサイズの製品が販売されています。しかし、安価な物から高価な物まで製品の種類も豊富なため、粗悪製品が多いかもしれません。
こちらも小型家電製品という部類に該当するものとなってくるため、自治体の小型家電ゴミ収集で処分を進めることが可能となっています。一部の製品についてはバッテリー容量も大きくなるため、安易に小型家電ゴミで処分して問題ないかは確認をする必要があるでしょう。
おもちゃ・玩具
使い切り電池とは異なり充電式電池が使用されている製品が昨今は増えてきています。基本的にそこまで大きくない背品については、解体・分解を行って一般ゴミ収集等を活用して捨てることもできるでしょう。バッテリーについては、取り外しを行い個別に処分を進めることが推奨されます。
しかし、バッテリー部が取り外すことができなかったり、そもそも分解・解体が難しいような製品の場合には、メーカーや販売店にそのままの状態で回収をしてもらうことが可能な場合があります。正直、この辺りは不明瞭な部分が多く問い合わせをしてみないと分からない面も多いため、購入店に確認をすることが望ましいでしょう。
製品によっては通常サイズの家電になるため、電子機器が含まれるようなものは確認を必ずしましょう。
電子工具
電子工具については、家庭用として使用されるケースはそこまで多くはないかもしれません。業務用としても使用できるような製品が多いと考えられるため、バッテリーパックを交換して使用できる場合が多いです。
そのため、バッテリー部品のみの処分を行うことができれば問題もないでしょう。製品によっては、バッテリー内蔵型のものもあると思われますが、バッテリーのみを交換するサービス対応なども比較的手厚く提供されています。
バッテリーを用いる電子工具類については、JBRCの加盟店でのリサイクル回収が設けられています。そのため、購入店や最寄りのホームセンター等で容易に回収を行ってもらうことが可能となり処分も難しいものではありません。
電子タバコ
バッテリー充電型の電子タバコ製品(加熱式タバコ)の仕様は年々増え続けています。これらの製品も他のバッテリー内蔵型製品同様に、何かしらのリサイクル回収方法を用いて処分が可能と考えがちですが、少々注意が必要です。
国内で流通している電子タバコメーカーは「アイコス(IQOS)」「プルームテック(Ploom TECH)」「グロー(glo)」の3種類が主流となっていますが、それぞれのメーカーによって回収対応が異なる点に注意が必要です。
「プルームテック(Ploom TECH)」「グロー(glo)」については地域の販売店が回収対応は行われているため処分も容易となっていますが、「アイコス(IQOS)」に関しては自治体や地域の販売店等での回収が用意されておらず、基本的に全国数ヶ所の公式ショップのみでの回収しか用意されていません。
そのため、一部の電池タバコ製品は極端に処分が難しいものとなっているため非常に注意が必要です。
モバイルバッテリー
リチウムイオン電池が使用されている製品の中でも代表格的な製品と言えるでしょう。コンビニなどの出先でも購入することができ、いつでも簡単に手に入れることができる物となってきています。それだけ需要も大きな製品と言えるため、様々な製品が存在しています。
一番の問題点としては、必ずしも購入店に相談できるものではないことでしょう。基本的には自治体等での回収対応は満足に整備されておらず、JBRC加盟店の家電量販店に持ち寄り回収をしてもらう必要があります。
しかし、対応店によっても膨張をしてしまったモバイルバッテリーが回収してもらえないことがあるなどのトラブルも散見されるなど、まだまだ満足に回収してもらえないことが多いです。
あとがき
今回はリチウムイオン電池と各種バッテリーが使用されている製品についての解説を致しましたが、いかがでしたでしょうか?
普通に使用している限りでは特段問題が無いものばかりですが、バッテリーが劣化してしまっている状態で使用し続けてしまうとどちらの製品であっても同様の危険性がある物ばかりです。
特に大きな製品になればなるほど事故が起きた場合の危険性は高くなるものと考えられるため、同時に複数の製品の処分を検討している場合などは、大きな物から処分を進めて行けた方がリスクが少ないかもしれません。
基本的には各自治体ごとに設けられているルールに則って分別を進められることが理想ですが、まだまだ処分のルールが整備されていない状況もあるため、現時点での処分方法を今一度確認しておくと混乱も少ないでしょう。
繰り返しになりますが、使用済みのリチウムイオンバッテリー内蔵製品を保管し続けて放置してしまうことは非常に危険性が高いため、必ず忘れずに処分を考えて行くことが重要です。